診療所内のほのぼのエッセイ


 診療所でのある光景が、私の心をほんわかさせてくれました。

 それは診療を終えた老夫婦が帰る姿の中で、おじいちゃんの右手には杖が、左手にはおばあちゃんの温かそうなふわっとした手が、そーっとつながれていました。そこだけがゆっくりとゆっくりと穏やかに時間が流れているようでした。
 その時ふと私は人という文字が浮かびました。まさにその姿が人という字に似ていたから…。
 神様は支え合って・わかち合って生きていけるように、人は一人では生きていけないように人間をもともと弱くつくってくれたのか?
夫婦に限らず老若男女、あらゆる人間もそれにあてはまるのでは…。
 今の世の中は、速さ・豊富さ・効率性という観点から見れば申し分ないかも知れません。では生きやすくなったか?と言えばそうでもないと感じるのは私だけでしょうか。支えあわなければ生きていけないのは、昔も今もそしてこれからも変わらないし、変わってほしくない人間の姿・人を成長させてくれる姿なのではないでしょうか?
 おばあちゃんは私にペコッと頭を下げ、左手を振ってくれました。私もまた頭を下げました。私の心をほんわかさせてくれて「ありがとう」と。

             By-sugako