世界遺産とは

世界遺産条約の概要

 世界各地の文化遺産・自然遺産を人類全体の財産として各国が協力して守っていくそのしくみを定めた条約が、1972年の第17回ユネスコ総会で採択されました。
「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」すなわち「世界遺産条約」です。

2000年11月30日現在の締約国数 156ヶ国

文化遺産と自然遺産

 この条約は、「顕著で普遍的な価値」のある以下のような文化遺産・自然遺産を対象としています。

◆文化遺産
  ・記念工作物 monuments
  ・建造物郡  group of building
  ・遺跡    sites   ー文化的景観を含むー

◆自然遺産
  ・地学的に重要な地域
  ・生物学的に重要な地域
  ・自然の美しい風景地

文化的景観とは
 文化的景観ーcultural landscapesーとは、”自然と人間の共同作品”とされています。具体的には、庭園や田園風景、あるいは信仰の対象となった自然景観などです。人間の関わり方は様々ですが、”文化的”なもの=文化遺産として扱われます。

世界の遺産の保護のしくみ

◆世界の遺産を保護するためのしくみは、国内レベルでの取り組み、国際レベルでの取り組み、の2つに大きく分けられます。

国内的保護
各国は国内の遺産を人類の遺産として保護する責任があります。
日本では、文化遺産は文化財保護、自然遺産は自然環境保全法・自然公園法・森林法によって保護されています。

国際的保護
自国の力だけでは遺産の十分な保護が困難な国を国際社会全体で支援します。
日本にも様々なかたちで国際的援助に参加しています。

◆国際的援助を実施するため、条約に基づいて世界遺産委員会と世界遺産基金が設立されています。

世界遺産委員会
締約国からの要請に対し、どこにどのような援助を行うかを決定します。21ヶ国で校正されています。

世界遺産基金
援助の資金です。
締約国の分担金や任意の拠出金、その他の国・団体・個人からの寄付などを財源としています。

◆世界遺産委員会は、世界の様々な自然や文化を代表する遺産のリストー世界遺産リストーを作成しています。

世界遺産リスト
一般に”世界遺産”と呼ばれているのは、このリストに登録された遺産のことです。それらの遺産の保護を共通 のテーマとして、具体的な取り組みが進められます。

 

世界遺産 琉球王国のグスク及び関連遺産群の概要

 琉球の社会=文化の基礎は、日本や中国、東南アジアとの交流によって琉球の時代に築かれました。それは現代の沖縄にも、色濃く残されています。

 2000年12月に開催される第24会世界遺産委員会で、今帰仁城グスクを含む「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産リストへの登録が決定されます。
 今帰仁城を初め 首里城、中城城、座喜味城、勝連城、識名園、園比屋武御獄石門、玉 陵 、斉場御獄の9つの資産で構成されています。

琉球王国のグスク及び関連遺産群

 世界遺産リストへの登録にあたっては、各資産が個別に評価されたのではありません。9資産全体で物語っている琉球の歴史や文化の特質が評価されました。
 「琉球王国のグスク尾yぼい関連遺産群」という名称で全体がひとつの文化遺産として登録されていることがそれをよく表しています。9つの資産は琉球全体の代表なのです。

世界遺産としての評価

◆文化遺産の価値ー「顕著で普遍的な価値」が十分にあるかー

 文化遺産の6つの価値基準のうち、2.3.4.6.の4つにあてはまることが認められました。

2. ***芸術や技術の発展をもたらした重要な文化交流をしめすもの***
 日本や中国、東南アジア諸国との交流によって築かれた琉球独自の文化を指名しています。

3. ***ある文化や文明の極めて貴重な証拠***
 グスクは琉球社会の象徴的存在であり住民の精神的よりどころでもあり、琉球文化の中余蘊あ証拠です。

4. ***人類の歴史の上で中余蘊あ時代を物語る優れた実例***
 琉球王国の石像記念工作物や文化的景観により、当時の優秀な意匠や技術を伝えています。

5. ***普遍的な意義のある事柄と密接な関連のあるもの***
 琉球地方独自の進行携帯の特質を表しており、住民の生活や精神に文化として生き続けています。